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交通事故で問題となる過失割合、駐車場で起きた場合について考える

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過失割合が5割になることもある駐車場での交通事故   

過失割合を考える上では、事故の当事者が道路交通法をどの程度遵守していたかどうかが、ポイントとなります。

そのため、どちらか一方が法律の規定に従っていなかったのであれば、それだけ責任が重いと見做されることになると思われます。

しかし、駐車場で事故が発生した場合には、この道路交通法が適用されるのか否かが論点となるでしょう。仮に事故現場となった駐車場が、自動車道でないと認定されれば、この法律の適用範囲外となる訳です。

こうした駐車場での事故の過失割合については大抵の場合、折半にすると言われています。

しかし、被害を受けた側としては、たとえその後で交渉をするにしても、最初から過失割合を5割とされてしまったのでは、随分と不利な立場に立たされるような気もするでしょう。

仮にこれが事故発生時にどちらか一方が車に乗車せず、運転もしていなかったのなら、その人は責任を問われることはありません。

例えば、スーパーの店内で買い物している最中に、駐車場に止めてあった自家用車に他の車がぶつかったといった場合なら、被害者には全く過失がないと言えます。

過失は全て車をぶつけてしまった運転手が背負うことになり、損害賠償も全額負担することになるはずです。

こうした事故も少なくないのですが、駐車場で発生する事故の全てがこの事例のように、明らかにどちらか一方にのみ責任があるものばかりではありません。

同じ駐車場の事故でも運転中に起きた場合については、過失割合を巡って様々な問題が発生するのです。

万一、駐車場の中で交通事故を起こすと、過失割合はどうなるのか   

駐車場内における注意義務というのは、一般に通路を通る車よりも、駐車していた車を発進させるドライバーの方に重く課せられているようです。

それと言うのも、駐車場内では沢山の車が車を止めようと通路を往来しているので、これから車を動かそうとするドライバーには、他の車が円滑に通路を通れるよう注意する責任があるからです。

一方、車を走らせている運転手には、駐車している車が発進した場合でも、衝突が起きないように、回避可能な速度と方法で走行する責任があるのも事実です。

ここでは、駐車していた区画から発進して通路へ向かおうとしていた車と、駐車場内の通路を通る車との間で衝突事故が発生した場合の過失割合について考えてみることにします。

この場合には、通常は駐車区画から出る車と通路を走る車の過失割合は通常、前者が7に対し後者が3、若しくは8:2と算出されるケースが多いようです。

もっともこの数値は全てのケースに該当する訳ではなく、事故の発生状況や現場の視界といった事情も考慮されるでしょう。

したがって、実際に過失割合を算出するにあたっては、これらの要素を的確に捉えておく必要があります。

追突事故は要注意!全ての過失を負わされることも  

後続車の運転手には、先行車との間に安全を保つのに十分な距離を保ちながら走行するという「車間距離の保持義務」があります。

これは万が一、先行車が突然ブレーキを掛けたり、急停止した場合でも追突事故を避けるためにも欠かせないこととして、道路交通法にも規定が設けられています。

したがって追突事故が発生した場合には、後ろを走っていた車はこの責任を怠っていたものとされるので、その過失の一切は後続の運転手が背負うことになります。

つまり、追突事故における過失割合は後続車の運転手10に対し、先行車の運転手0ということになる訳です。

また、ハンドル操作を誤ったり、後方をよく確認しなかったために、駐車場内に止めてある車と接触する事故を起こしてしまった場合も、運転手側に全面的に過失があるものと見なされます。

こうした事故は、新米ドライバーによくあるようです。何れにせよ、事故が起きたのが駐車スペースに入る時であっても出る時であっても、責任があるのあくまで運転している側なのです。

一方で、駐車場に正しく止めてあった車の運転手は、ぶつけられても過失や責任を問われることはありません。

くれぐれも肝に銘じておいて欲しいのは、追突事故が発生した場合の過失責任はすべてぶつかってきた側にあるというのが、過失割合を考える上での基本原則となっていることです。

※参考 道路交通法

車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その車両が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避ける事ができるため必要な距離を、これから保たなければならない(第26条)。

歩行者も無縁ではない、交通事故が駐車場で発生した際の過失割合

当然のことながら、駐車場というのは車だけでなく、歩行者も立ち入る場所です。しかも一般道のように歩行者専用の道が整備されていない駐車場も少なくない上、子供がいきなり飛び出してくることも珍しくありません。

このためドライバーとしては、駐車場内でも気を抜くことは出来ないのですが、それでも人と車との間で事故が何度も発生しているのです。

その場合の過失責任について裁判で争われた際の判例も幾つかあります。

例えばスーパーマーケットの駐車場で車を発進させた際に発生した事故について、東京地方裁判所で行われた裁判では、事故を起こしたドライバーと被害者の過失割合を9対1とする判決が言い渡されています(平成15年7月29日)。

この判決の中では、多数の車が駐車している事故現場には子供連れをはじめとする大勢の利用客が出入りしていることを指摘していました。

また、同じ東京地裁が平成24年2月14日に出した判決でも、駐車場内の幅およそ5メートルの通路で起きた事故における加害者ドライバーと被害者の過失割合を9対1としています。

こちらは商店街と駐車車両の間の通路で起きた事故の裁判でした。これらの判例からも察せられるように通常は、駐車スペースや通路など駐車場内で人と車がぶつかった場合のドライバーと歩行者の過失割合は、9対1とされることが多いようです。

ドライバーに対しては駐車場内を走行する際には速度を落とし、緊急時にはすぐに停車出来るくらいの徐行運転が求められます。

このため過失割合が争われた場合には、ドライバー側がより大きな責任を問われることになってしまうのですが、仮に非があると認められる場合には、歩行者側の過失割合がこれより大きくなることもあります。

サービスエリア内の駐車場で発生した事故の裁判では、通路を漫然と横切った歩行者の過失割合を2とし、ドライバー側を8としました(平成19年11月28日)。

こちらは車に加え歩行者の出入りの激しいサービスエリア内の駐車場での事故でしたが、この判決を出した東京地裁は、歩行者が車の通行量の激しい通路を横切った場合には、過失割合もそれだけ大きくなると判断したようです。

事故を未然に防ぐにはどうすればよいのか

何よりも大切なのは、交通事故を起こさないことです。特に駐車場内においては、斜めに車を止めたり、隣に止めてある車との側方間隔狭めるような駐車の仕方をするのは危険です。

こういうドライバーは自分で事故の原因を作り出しているものでしょう。自分が車を止めようとしている場所の隣に別の車が止めてある場合には、側方間隔に気を付けなくてはならないのはドライバーとして当然のことです。

また、駐車場に入ると空きスペースを探すのに気を取られるドライバーもいますが、歩行者や他の車に対する注意も忘れてはなりません。

スピードは時速10キロ以下にまで下げ、バックをする時は速度を徒歩で移動するのと同程度まで落としてください。

更に自分の目で直に側方間隔などをチェックするため、バックをする際には一旦停車して、車から降りる必要があります。

また、バックギアを入れた直後に車を動かすようなことはせず、後退するのは何度が警告音が鳴った後にすべきです。車を動かす際には外の音が耳に入るように車窓を開放し、後ろの状態を目で確かめながら後退するようにしましょう。

これは同乗者の誘導がある場合でも同じです。尚、同伴者いるのならバックの時だけでなく、車を止めたり発進する際にも声や手ぶりで誘導してもらうようにしてください。

周りの状況把握は、発進する時も重要なので、乗車前に車の回りを歩いてみて、発進の妨げになる物があるかどうか、歩行者(特に子供)や走行中の車等のある無しなどをチェックすることです。

また、両隣に駐車してある車との間隔の確認も怠らないようにしましょう。

これらはいずれも駐車場における交通事故の回避に欠かせない事柄なので、ドライバーの皆さんは是非とも心得ておいてください。

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