退職後に必要な健康保険の切り替え
退職後、次の職場が決まっていないなどで再就職まで期間がある、もしくは再就職をしない場合は、これまで勤めていた会社の社会保険からは脱退しているため、他の健康保険に切り替える必要があります。
その一つが国民健康保険です。
日本国民は、必ず国内のいずれかの健康保険に加入することが義務付けられています。
また、国民健康保険はいずれの社会保険にも属していない人が全員加入しなければいけないことになっています。したがって、会社の社会保険に属していない退職者は国民健康保険に切り替えなければいけないのです。
切り替えておかないと、通院した際の医療費を全額支払わなければいけなくなります。
もし、これまでの会社の健康保険を任意継続する、または家族の被扶養者になることにした場合は、退職日の翌日付けで手続きを行えば、国民健康保険への切り替えは必要ありません。
退職後に国民健康保険に切り替えする際の手続き方法
では、退職後に国民健康保険に切り替えることにした場合、どのような手続きを踏めばいいのでしょうか。
ここでは、その手続きについて紹介します。
国民健康保険は各市区町村が管理しているため、自分の住所のある役場で手続きを行います。手続きは退職した日から2週間以内に行う必要があります。
手続き時には、退職したことを証明する書類(離職票など)が必要となりますので、準備して行きましょう。
また、国民健康保険に加入後に新しい就職先か決まった際には、国民健康保険の脱退の手続きを行う必要があります。この際に必要となるのは、新たに入った社会保険の保険証もしくは社会保険の資格所得証明書、そして国民健康保険証です。
なお、国民健康保険の加入時、脱退時いずれの場合も、申請に必要な書類の他に本人確認書類(運転免許証など)が必要となります。
退職することで切り替える社会保険と国民健康保険の違い
これまでに社会保険と国民健康保険という言葉を紹介してきました。この2つはどのように違うのでしょうか。
ここでは、この社会保険と国民健康保険の違いについて紹介します。
社会保険とは会社員の人が加入するもので、健康保険と厚生年金が対象となります。
一方、会社に属さない個人事業主や主婦などは、国民健康保険と国民年金に加入するのが一般的です。また、それぞれ次のような違いがあります。
まず、保険料の支払いです。
社会保険では、保険料は本人と会社が折半して保険料を支払うのに対し、国民健康保険では全額自己負担となっています。
2つ目が疾病手当です。
社会保険では、病気などの治療で仕事を休んだ場合にはその間の給料を補填する傷病手当金が支給さされます。一方、国民健康保険にはこのような制度はありません。
3つ目が出産手当です。
これも疾病手当と同様に、社会保険では出産のために会社を休んだ場合、その間の給料を補填する出産手当金が支給されます。
しかし、国民健康保険にはありません。ただし、出産一時金はどちらも支給されます。
4つ目が扶養制度です。
社会保険では家族を扶養に入れることができますが、国民健康保険の場合はそもそも扶養という概念がありません。
このように、社会保険と国民健康保険の間にはいくつかの違いがあるのです。
退職後に国民健康保険への切り替えをせずに再就職した場合の扱い
退職後、国民健康保険に切り替えるのであれば市区町村の役場で手続きを行う必要があります。
しかし、この手続きを行わないまま、新しい職場に再就職することになった場合、国民健康保険の保険料はどのような扱いになるのでしょうか。
たとえ国民健康保険への切り替えを行っていなかったからといっても保険料は請求されることになります。
退職後、次の就職先が決まるまでは何らかの社会保険に属していなければならず、どこにも属していなかった場合は国民健康保険に加入することが義務付けられているためです。
切り替え手続きをしていなかった場合でも、国民健康保険に属していることになるのです。
したがって、新しい職場での社会保険に切り替わるまでの間の分の保険料は支払わなければいけません。
放置しておくと、催促や保険料の引き上げ、差し押さえなど法的な手続きを取られる可能性もあるため、しっかりと切り替えの手続きをするようにしましょう。
退職後、国民健康保険に切り替える前に注意しておきたいこと
ここまで、退職後に国民健康保険に切り替える際の手続き方法などについて紹介してきました。
最後に、切り替える際の注意点を紹介します。
社会保険の保険料徴収の対象月について
会社を退職した場合、社会保険の資格は退職日の翌日に喪失します。したがって、月末に退職した場合は翌月の1日が資格喪失日になります。
ここで、社会保険料の徴収の対象期間について注意が必要です。例えば、3月31日に退職した場合、被保険者の資格喪失日は4月1日となります。
社会保険料は資格喪失日の前月まで発生するため、前月の3月分まで徴収されることになります。
しかし、3月30日に退職した場合は、被保険者の資格喪失日が3月31日となり、社会保健料は前月の2月分までの徴収となります。
このように退職日によって、保険料を徴収される期間が異なるため、注意が必要です。
保険証返却について
退職の際には、それまで勤めていた会社の保険証は返却しなければいけません。
扶養家族の保険証も発行している場合には、それも合わせて返却する必要があります。
国民健康保険への加入日について
退職後に次の職場が決まっていない場合、退職日の翌日から国民健康保険に加入することになります。それは手続きを行っていなくてもです。
この切り替えの段階から保険料が発生しますので、退職後は速やかに国民健康保険の加入手続きを行いましょう。