夫婦の貯金を妻の名義の口座にまとめるのはやめましょう
夫婦で貯めたお金をどの名義の口座に預けているかについてアンケートを実施すると、ほとんどの場合、妻の名義であるようです。
よくあるのが、共働きの夫婦の場合、夫の収入を生活費に回し、妻の収入を貯蓄するというケースです。
これなら、確かに夫の収入の範囲内で生活をしようという意識付けができて、しかも貯蓄の管理も簡単というメリットがあります。
ただし、注意したいのは貯蓄している口座が妻の名義であるという点です。
貯蓄しているお金はあくまでも夫婦で築いたものですが、他人が見ればいかにも妻自身の貯金とみなされます。
あくまでも夫婦二人で貯めたお金ですから、夫婦連名の口座ができれば理想ですが実際にはそうはいきませんので、どうしても夫婦どちらか一方の名前での名義の口座とならざるを得ないのが実情です。
そのため、後々のトラブルを避けるためにも、夫婦それぞれが自分の名義の口座で貯金をするべきです。
夫婦の貯金を一人の名義の口座にまとめる2つのデメリット
1.マイホーム購入時に贈与を疑われる可能性が
不動産登記上の持ち分を夫婦折半としてマイホーム購入したとします。
購入額の半分を頭金として支払い、残りの半分をローンで支払うとした場合、頭金の支払いを妻の名義の預金口座から支払うと、贈与の疑いがかかることになります。
これは妻の支払いの負担が、頭金に加えてローンの支払額から、妻の方が多いように見えるからです。
2.相続でトラブルが発生する可能性も
若いうちは頭にないことがほとんどですが、厄介なのが相続に関する問題です。
もし、子供がいない夫婦で妻が亡くなった場合、妻の家族との間で相続のトラブルが生じる可能性があります。
妻の名義で多額の貯金をしている人は、仮に妻が亡くなったとすると、妻の家族との間で相続に関する手続きをすることになり、妻の名義で貯めた自分のお金の多くを失う事にもなりかねないのです。
夫婦の貯金を妻の名義の口座にまとめる「名義預金」について
皆さんは、「名義預金」という言葉をご存じでしょうか。
たとえば、夫婦で貯めた貯金を妻の名義の口座にまとめていた場合、夫が亡くなった後に妻の名義の貯金が妻のものではなく夫の財産とみなされて、相続税がかかることがあります。
また、妻がコツコツと自分の名義へ貯めたへそくりも、夫の財産とみなされる場合があります。
つまり、実質的に稼いだ人が本人ではないと判断された貯金が、名義預金ということになるのです。
夫としてみれば妻に全額を相続したいものですが、税務署に名義預金と判断されると相続税を支払わなければなりませんから、そのための対策が必要です。
名義預金と判断されないためには、贈与契約書の作成が重要になります。
贈与契約書とは、あらかじめ税務署に贈与の事実を申告するものであり、毎年欠かさず行うことで後に名義預金とみなされることが無くなります。
ただし、贈与税が非課税となるのは年に110万円以内ですので、注意しましょう。
妻が語る共働き夫婦の貯金口座の振り分け例
共働き夫婦の妻である私の家庭の場合、家計は私がやりくりをしています。
2人の貯金の振り分けですが、夫名義の貯金口座は主に郵便局に、私の貯金口座は銀行を利用しています。
さらに、郵便局と銀行の口座ともに給与振込み用と貯蓄用の2つに分けています。
また、夫の名義で投資信託の証券会社総合口座も開設していますが、投資信託に関しては夫よりも私の方が詳しいため、余裕資金を運用する目的で実質的には私が運用をしています。
月々の生活費は私の銀行の給与振込み用の口座から引き落とすようにしていて、できるだけ夫の給与振込み用の口座には定額を残すようにし、余った額を私と夫の貯蓄用の口座へ均等に預けるようにしています。
なお、夫名義の貯蓄用の口座の残高と私の名義の貯蓄用口座の残高は、できるだけ同じ金額になるように注意しています。
共働き夫婦の貯金を1つの口座にまとめることのメリットについて
共働き夫婦の収入を1つの口座にまとめることについてデメリットが多いことを指摘してきましたが、もちろんメリットもあります。
家計をやりくりする上では、やはり収入と支出を分かりやすくするために、1つの口座で管理した方が便利です。
夫婦で共に収入があって、それぞれが個別にお金を使うようなやり方は、管理がずさんになってしまいがちで、無駄遣いも多くなって夫婦での貯金が貯まりにくくなるというデメリットがあります。
また、水道光熱費などの各種公共料金の引き落としをする際にも、やはり1つの口座にまとめておいた方が管理しやすいという大きなメリットがありますよね。
毎月の公共料金の引き落としの日は各種で異なりますし、どの料金がどれだけ引き落とされたかを分かりやすくするためにも大変便利です。
また、家庭での生活費を管理するという点でも、1つの口座にまとめておいた方がメリットがあります。