派遣社員の給料は本当に安いのか?その実態を紹介!
派遣社員の給料は正社員に比べて安いというイメージがありますが、実際にはどのくらいの給料をもらっているのでしょうか。
まず、ここではいくつかの職種の派遣社員の方の実際の給料を紹介していきます。
●生産工程業務(男性:28歳)
年収:約180万円
仕事内容:工場にて流れ作業の仕事。ペットボトルのふたにおまけをつけるなどの作業。
●証券会社の事務(女性:30歳)
年収:約220万円
仕事内容:証券会社の事務作業
資格など:証券外務員
自動車の組立て(男性:33歳)
年収:約360万円
仕事内容:期間工として自動車の組立て作業
正社員の同年代の人達は30代平均で400〜500万円の間なので、これを見ると派遣社員の給料は全体的に低いことがわかります。
仕事内容の違いはあるものの、派遣社員と正社員の間にはこのように給料の差があるのが現状なのです。
給料が安いことが派遣社員希望者の少ない理由の一つ
積極的に派遣社員になりたいという人は多くないのではないでしょうか。
契約社員だと契約期間が決まっていて、いつまでも同じ会社で働けるとは限りません。
そして、なりたくないもう一つの大きな理由としては、給料が正社員に比べ安いということでしょう。
では、実際にどのくらいの違いがあるのでしょうか。
30代の派遣社員の場合で考えてみましょう。事務系の仕事であれば、時給は1,500円程度でしょう。
そうなると、1日8時間労働で20日働いたとして月額で給与は20万円近くということになります。これを年収に換算すると、派遣社員はボーナスがありませんから200万円強ということになります。
一方、会社で正社員として働いている人は、年収が400万円台が平均ということなので、派遣社員はかなり低いということがわかるでしょう。
ある調査によると、派遣社員のなかで年収が200万円に達していない人は全労働人口の80%近くになるそうです。ということは、30代以上でも年収200万円に達していない派遣社員がいると推測されます。
派遣社員の給料が正社員よりも安い理由
では、なぜ派遣社員の給料は正社員と比べて安いのでしょうか。それは、派遣社員の成り立ちに関係しています。
もともと派遣社員は、通訳のような特殊技能を持った人間を必要なときに雇うためだけに設けられた雇用形態でした。したがって、そのような特殊技能を持った派遣社員の給与は現在も決して安くはありません。
しかし、現在は特殊技能を必要としない事務作業のような仕事をする人を雇うためにも、この派遣という雇用形態を用いるようになりました。現在は、この形の派遣社員が圧倒的に多いのです。
仕事の内容は正社員よりも比較的簡単で、仕事量も多くないため、給料もそれだけ低くなってしまいます。
また、派遣社員は派遣元会社の仲介のもと働きます。そのため、派遣先の会社から支払われる派遣料から派遣元会社の手数料が引かれた状態で派遣社員に給料が入ってくるのです。
手数料が引かれている分、派遣社員の給料は安くなると考えてもよいでしょう。
派遣社員の給料が正社員よりも安いもう一つの理由
派遣社員の給料が正社員よりも安くなるもう一つの理由として昇給があります。
30代前半までは実は派遣社員のほうが給料はよいのです。正社員と比べて高いという人もいます。
しかし、正社員には昇給があります。自分の仕事の評価によって金額が上がっていきます。
一方、派遣社員には昇給がありません。そのため、30代後半あたりから、正社員のほうが高くなっていき、派遣社員との給与格差が広がっていくことになります。
この格差をなくしていくためには、正社員になるというのも一つの手です。派遣先でしっかりと仕事をこなし、紹介派遣という形になれば正社員として認めてもらえるチャンスもあります。
また、派遣会社によってはスキルアップ講習会を開催しているところもありますから、それらを利用してスキルアップをはかり、より高い給料をもらえるようにするという手も考えられます。
派遣社員の給料が正社員よりも安いのは法律的に問題ないのか?
正社員のなかにも派遣社員と同じような事務作業のような仕事をしている人はいます。でも、正社員のほうが給料は高いことが多いでしょう。
では、これは法律から見て問題ないのでしょうか。
実は、仕事は「業務の内容」だけで決まるのではなく、「責任の程度」「配置の変更範囲」などを考慮して不合理でなければ賃金に差をつけてもよいとされています。これは労働契約法やパートタイム労働法に記されています。
また、同一労働同一賃金推進法でも、派遣社員に関し、適度に差がついて賃金でもよいとされています。
このことから、責任が重い、また配置転換がある正社員とぞれらがあまりない派遣社員とでは、給料も変わってくるのです。
しかし、これらは仕事の内容に違いがなくても、契約書類上で責任の程度や配置転換のことを形式的に記載することで、賃金に差をつけることができるということです。
結果、正社員と派遣社員の間に賃金の差が生まれてしまっているというのが現状です。