介護施設の厳しい現状。介護職員の男女の適性とは?
介護施設職員の男性と女性による適性についてはどうなのでしょうか?
よく介護職には男性は向かないという話を聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか。
平成25年の調査(介護労働安定センター)によると、正規雇用で男性は約33%、女性は約67%。非正規雇用で男性は14%、女性は86%となっています。
このデータからも女性が多い職場と言えます。また、介護を受ける利用者からの意見としては、特に女性の利用者からは同性の介護職員を望む意見が多数を占めています。
しかし、筋力を必要とするような身体介護については、男性の介護職員の方が安心して任せられるという意見もあります。
ですので、介護の現場では男性の特性を生かした働き方に一定のニーズがあるため、介護職に男性は向かないとは言えません。
これらのことを踏まえ、男性の介護職員の場合は、最低限の現場経験を積んだ後は、介護支援専門員(ケアマネジャー)や社会福祉士(ソーシャルワーカー)などの資格を取得して、介護のマネジメントの方面に進むこともできます。
経験を生かして積極的に資格を取得することが、給与面、待遇面などから見てもよいのではないでしょうか。
離職で人手不足!介護施設の厳しい現実
介護施設の介護職員の離職率は、他の業種に比べて多いとされています。
平成28年の介護労働安定センターの調査によりますと、問題点としては、人手が足りない、仕事内容のわりに賃金が低い、有給休暇が取りにくいなどが上位を占めていました。
また、介護の仕事を選んだ理由としては、働きがいのある仕事だと考えている人が多く、継続して働きたいと考えている人も多くいました。
離職した理由としては、職場の人間関係に問題があったためとの回答が多かったようです。
これらを総合的に考えてみますと、介護職員は、継続して働きたいと考えているのに、職員不足から人手が足りず、必然的に仕事量が多くなり、その割りに賃金が低いと考えている人が多いといえます。
また、この状況では離職する人が増え、さらに人手不足、1人当たりの仕事量が増えるという悪循環に陥ってしまっています。
この悪循環を断ち切るのには、まず待遇改善が先決問題だと思われます。
国としても介護職員の待遇改善に取り組み、「介護職員処遇改善加算」という制度を作りましたが、実際にはまだまだ改善の兆しは見えてきていないのが現実です。
介護職からの転職……なかなか厳しい現実が!
介護職がなかなか厳しい職種であるというのは、一般の方にも簡単に想像がつくかと思います。
また、現時点では、介護職の待遇も他の職種に比べると、決してよいとは言えません。
このようなことから、介護職から一般の企業に転職したいという方もたくさんいますが、介護職から一般の企業への転職というのも簡単ではないようです。
現在介護職からの転職を考えている方は、当初どのような理由から介護職を選んだのでしょうか?
もし、介護職に興味があり、やりがいのある仕事だと考えて介護施設に就職したのなら、転職を考える前に介護関係の資格を取るなどして待遇が改善されるような努力をしてみるのも一つの方法だと思います。
そうではなく、とりあえず求人があったから介護施設で働いているという方は、もう一度、一般の企業の求人を探してみるのもよいかと思います。
といいますのは、介護の仕事というのは、収入を得るための手段だけと考えている方には、つらい仕事になるからです。ご自身の適正に合った仕事を探されるのがよいかと思います。
介護職の求人はどの施設も厳しい状況!
介護施設の介護職の求人を出しても、なかなか応募者が集まらないとよく聞きます。
これは現時点では、介護の仕事は、慢性的な人手不足と言えるかと思います。十分な人手がありませんので、介護職1人の仕事量が多くなります。
また、給与面でも国からの介護報酬が介護施設の運営費の元となっており、介護施設の財政状況によっては、人件費に回す資金が十分でないという施設もあるようです。
この介護報酬というのは、介護の内容などにより国が決めるもので介護施設が自由に決められないものなのです。
基本的に国の財政は赤字ですので、介護報酬の引き上げはなかなか難しい面があります。
また、介護施設間の利益率の格差も大きく、国が財政支援しようとする際の問題の一つとなっています。
それと、国が介護職員の待遇改善策を出しても、具体的な実施配分方法は介護施設に任されていますので、すべての介護職員に給与改善がなされる訳ではありません。
国もさまざまな対策を講じようとしてますが、現在の介護職員の状況を踏まえると抜本的な改革が必要な時期にきているのではないでしょうか。
厳しい現状!介護施設の介護職員のストレス!
介護職の方々は、さまざまなストレスにさらされています。
まず、介護職員間のストレス。介護職の方の離職理由の上位に「職員間の人間関係」というのがあげられています。
同じような仕事をしていても、正規雇用と非正規雇用、資格の有無、パートタイマーと派遣社員などでは、給料(時給など)が違います。
また、慢性的な人手不足で仕事に追われている状況で、職員の心に余裕がないため、どうしても職場がギズギズしてしまうのです。
このような職員の精神的な状況というのは、施設の入所者への対応にも現れてきます。
高齢者は、動作や話の受け答えなどはどうしてもゆっくりしがちです。介護職員の心に余裕がある状況であれば、相手の行動や言動に理解を示すことができますが、心に余裕のない状況では、ついイライラしやすくなってきてしまいます。
介護施設というのは、高齢者を対象とした施設ですので、介護職員には心の余裕が必須です。心の余裕を維持できるような職場環境が求められています。
しかし、現状の介護職員は、慢性的な人手不足や安い賃金、肉体的にきつい仕事内容など、厳しい職場環境に直面しているのです。