うつ病を悪化させないためには上司にはきちんと報告しよう!
うつ病になったら、必ずそのことを伝えるべき相手がいます。それは、会社の上司と家族です。
会社という組織で働いている以上は、上司にはきちんと報告する必要があります。
うつ病であることは、仕事になんらかの影響を与えるものです。
仕事を休むことはもちろんのこと、仕事をするとしてもあまり負荷のかかる仕事はしないほうがいいでしょう。
上司に報告せずに、そのまま仕事を続けることにより、ますます病状が悪化して、さらに周りに迷惑をかけてしまう事態にもなりかねません。
その前にきちんと会社の上司には伝えておくようにしましょう。
また、あなたを支えてくれる家族にもうつ病であることを伝え、協力を得ることがうつ病を克服する近道でもあります。
うつ病であることを告白するのはとても勇気がいることかもしれません。でも、うつ病は決して一人では克服できません。周りの協力あってこそです。
今は協力してもらう立場かもしれませんが、うつ病を克服したら、あなたが周りの人を助けてあげればいいのです。
言いづらいということはあるかもしれませんが、早くうつ病を克服して周りの人を助けられるようになるように、必要な人にはきちんと伝えるようにしましょう。
実際にうつ病も上司や同僚に報告した人はどう思っているのか?
では、実際にうつ病のことを上司などに報告した人は、その後どう感じているのか見てみましょう。
通院治療中の人で上司や同僚にうつ病であることを公言した人にアンケートを取ったところ、次のような回答となりました。
「公言してよかった」…71%
「公言してよくなかった」…11%
このように公言してよかったという人がよくなかったという人を大きく上回る結果となりました。
さらに「公言してよかった」と回答した理由には、
- 重要なポストから外してもらったのでよかった
- 傷病休暇を取ることができ、治療に専念できた
- 上司に理解してもらい、仕事量を配慮してもらえたおかげで、安心して仕事ができるようになった
- パワハラが原因だったので復職後にいろいろと配慮してもらえた
というものがありました。
一方、「よくなかった」と回答した理由としては、
- 内科医の産業医から今の仕事が向いていないように言われ、退職を促された
- 周りのみんなが用心深く接するようになった
- 簡単な仕事しかまわされないようになった
- 同僚と会話することがあまりなくなった
というものが。
QLife(キューライフ)の山内善行氏は、これらの結果について次のように説明しています。
「会社への打ち明けは、休みを取ったり職場環境を改善するきっかけになるなど、治療プロセスに必要な一手段だ。『公言して 良かった』率が7割と高いのも注目に値する。職場の理解浸透が前提だが、上司から声をかけたり相談しやすい雰囲気を作るなどして、いっそうの『公言率』の向上が望まれる」
山内氏が話しているように、うつ病のことを報告することは治療の上でも、職場環境改善のためにも必要なことなのですね。
また、実際によかったと回答している人も多く、できるだけ報告したほうが効果があるようです。
うつ病を上司に報告する前に職場環境などを確認!
実際に職場の上司にうつ病のことを報告しようと思っても、職場環境や上司の理解度によってはなかなか受け入れてもらえないこともあります。
報告する前に、自分の職場や上司が次のような状態ではないか確認してみましょう。
職場環境
- うつ病に対する理解のある職場か
- 他にもうつ病を患っている人がいる職場か
- うつ病に限らず、病気を持った人や障害を持った人が働いている職場か
- うつ病などの精神疾患やメンタルヘルスについての啓もう活動を積極的に行っている職場か
上司
- うつ病に関してどの程度の正しい知識や情報を持っている上司か
- 物事の遂行に関して、精神論を唱えるタイプの上司か
- 部下のメンタルヘルス問題の管理を自分の職務の一部と理解している上司か
やはり職場環境や上司がうつ病という病気を受け入れてくれるかのかということが重要になってきます。
そのためには、職場の仲間、上司がうつ病についての知識を持っていることが大事です。
会社がメンタルヘルスの啓もう活動をしていたり、周りに同じような人がいるような環境であれば受け入れてもらえやすいでしょう。
このあたりをあらかじめよく情報収集し、報告しても大丈夫な職場、上司であるのかを判断することが大事でしょう。
これらに加えて、自分の立場も考慮に入れましょう。
自分の立場
- 正社員であるのか
- 派遣社員であるのか
- アルバイトやパートであるのか
正社員であれば比較的受け入れてもらいやすいですが、アルバイトやパートだとなかなか受け入れてもらえないでしょう。
このことも考慮に入れて、総合的に判断しましょう。
うつ病を上司に報告すべきではないケースもある
ここまではうつ病を上司に報告することが自分のためにも会社のためにもいいということを紹介してきましたが、会社によっては報告しないほうがいいケ-スもあります。
たとえば、次のような前例があって、自分が報告することで同じようなことになることが確実な場合です。
- メンタルな問題を抱える従業員に対して、長時間労働をさらに強要したり、パワハラやセクハラをさらにエスカレートさせる。
- 環境の悪い職場に異動させる。
- 転勤を強いる異動を命じる。
- 退職せざるを得ないような仕事をさらに強いる。
このような前例がある会社では、うつ病を報告した途端に同じような仕打ちを受け、病気の症状をさらに悪化させる可能性があります。
この場合は、報告することは避け、別の方法を考えるようにしましょう。
ただ、このような仕打ちではなく、共感や理解を示さず何の対策もしていないだけの会社や上司であれば、なにか良い方向に向かう可能性はありますので報告した方がいいでしょう。
うつ病で休職することになった場合の上司への報告手順
医師からうつ病と診断され、休職をすすめられることもあります。
その場合は、しっかりと休養し治療に専念したほうがいいでしょう。
ということで、最後にうつ病で休職することになった時の報告の手順について紹介します。
会社の就業規則を確認する
医師から休職をすすめられたら、実際に休職に入る前に会社の就業規則を確認しておきましょう。
就業規則には、休職の条件や休職期間の賃金について記載してあります。
特に休職した際の給料については把握しておきましょう。
多くの会社では病気で長期間休むことになった人のために傷病手当金が受けられることになっています。給料の全額はもらえませんが、2/3ほどを支給してもらえる制度です。
このことについても確認しておきましょう。
会社へうつ病の報告と主治医の診断書を提出・休職の手続きをする
就業規則を確認し、実際に休職することになった場合は、会社へうつ病であることの報告と主治医の診断書を提出することになります。
報告は上司に行うことになりますが、これから休職することによって周りに迷惑をかけること、治療に専念したいことをしっかりと伝えるようにしましょう。
また、休職期間中の自分の仕事をどうするかも上司としっかりと話し合っておきましょう。