会話が苦手な広汎性発達障害の人の特徴
広汎性発達障害の人にはどのような特徴が見られるのでしょうか。まずここでは、その特徴について紹介します。
対人関係をつくることが困難
この広汎性発達障害の人には「友人をつくれない」「グループに溶け込めない」といった特徴が見られます。
特に、友人やグループとの行動が増えてくる小学校に入ってから、この特徴が顕著に現れてきます。
コミュニケーションすることが困難
会話する際には、自分が興味のある話しかできなかったり、会話が一方的になったりなど、他者とのコミュニケーションがうまく取れないことも特徴の一つです。
空気を読んだり、相手の反応を読み取って雰囲気を察するということが苦手なためです。
異常なまでにあることにこだわりを持つ
特定の対象物に対して異常なまでに興味を持ったり、あまり意味のない習慣を繰り返したりといった強いこだわりを持つこともあります。
あることにこだわるあまり、臨機応変に対応できないことも多くみられます。
感覚に過敏になる
光や音に過敏になる、触られることを異様に怖がるなどの感覚過敏も特徴の一つです。
高機能広汎性発達障害の9割ほどの人は、なんらかの感覚過敏があると言われています。
一方で、感覚鈍麻という五感が鈍くなっている状態になることもあります。たとえば、空腹感を感じにくく食事を忘れてしまうことがある、疲れていることを感じにくいなどです。
広汎性発達障害の人が会話を苦手とする理由
広汎性発達障害の場合、言葉の遅れはないため、ほとんどの人が日常会話は問題なく行うことができます。
ただ、一対一の会話は大丈夫でも、3人以上の会話を難しいと感じる人が多くいます。それは、一度に複数の会話を頭の中で処理できないからだと言われています。
通常であれば自然と聴く音と聴かなくてよい音を瞬時に分けていますが、話をうまく聞き取れないため、誰と会話していいのかわからなくなってきてしまいます。
また、会話以外にもいろんな音が同時に頭に入ってくるため、会話している人の話に集中できないと言います。
他に、自分が興味があることは一方的に話すことができても、相手の話に興味が持てないと返答に困ってしまうこともあるようです。
また、全体の雰囲気を読むことが難しいため、場違いな発言をしたり、笑ってはいけないところで笑ってしまうということも多くあります。
このように、広汎性発達障害の人は、一対一の会話であれば問題なくできるのですが、複数になると会話が難しくなるようです。
会話が苦手な広汎性発達障害の治療法とは
ここまで、広汎性発達障害の人の特徴について紹介してきました。では、この発達障害は治療することができるのでしょうか。
実は、この広汎性発達障害は原因が明確になっていないため、治療方法は確立されていません。また、この障害を改善する薬も現時点ではありません。
したがって、この広汎性発達障害への対応としては、「子供が障害を持ちながら成長していく中で、生活するにあたって必要な支援を適切に行う」ということが基本となります。
また、大切なのは、なるべく子供が小さい頃に周囲の大人がこの障害に気づいてあげることです。
障害に気づかないまま社会で生活することになった場合、コミュニケーションに多くの問題を抱えることになり、本人も周囲の人もとても大変な思いをすることになります。
そうさせないためには、周囲の大人が早い段階で障害に気づき、専門機関に早めに受診させ、必要な支援を得る必要があります。
ずっと違和感を抱えて、「自分はどうして他の人と同じようにできないんだろう」と悩んでいた方が、大人になって発達障害を診断され、「自分が悪いんじゃなかったんだ」とホッとする人も多くいらっしゃいます。
広汎性発達障害の人がうまくコミュニケーションを取るための方法
先ほども紹介したように、この広汎性発達障害の人は一方的に会話することが多く、コミュニケーションがうまく取れないことが特徴の一つでありました。
では、この障害を持っている人でもうまくコミュニケーションを取る方法はあるのでしょうか。
ここでは、その方法を紹介して行きます。
相手の話に対して相槌を打つ
まずは自分から話さず、相手の話を聞くことに徹しましょう。そして、相手の話を聞きながら、随所随所で相槌を打つのです。多少オーバーでもいいのです。
相手の話が終わりそうなところで疑問の言葉を投げかけると、さらに会話がはずんでいくでしょう。
自分の話は相手に聞かれてから話す
広汎性発達障害の人の会話は一方的になりがちなので、自分の話はできるだけ相手から聞かれたときに話すようにしましょう。
また、あまり話すぎると自分の興味がある話ばかりになってしまうので、簡潔に話すようにしましょう。
相手の名前を呼んだり、印象を伝えたりする
多くの人は自分が相手にどのように思われているのか気になるものです。
ですから、相手の第一印象などを伝えることで相手に喜んでもらえるでしょう。
また、相手の名前を呼ぶことで相手との距離を縮めることができます。
広汎性発達障害の人の特徴を活かせる仕事と活かしにくい仕事
広汎性発達障害の人は会話が苦手とはいえ、その特徴を活かした仕事をすることができます。
最後に広汎性発達障害の人がその特徴を活かせる仕事、逆に活かしにくい仕事を紹介します。
広汎性発達障害の特徴を活かせる仕事
広汎性発達障害の人にはこだわりが強い、パターン化されたものを好む人が多いそうです。
そのため、同じ作業を繰り返すルーティンワークは適した仕事と言えるでしょう。
例えば、工場での組み立てや梱包やレストランなどでの食器洗い、清掃作業、データ入力などは適した仕事でしょう。
一度やり方を覚えると効率よく仕事を進める人も多く、職場で高評価を受ける人もいるそうです。
広汎性発達障害の特徴を活かしにくい仕事
一方、急な予定変更や臨機応変な対応が必要となる仕事では特徴を活かしにくいと言えるでしょう。
また、一方的な会話となりがちなので、営業職など高度な会話スキルや対人スキルを必要とする仕事も活かしにくいと言えます。