医療系の主な資格取得者の給料は?平均年収などの傾向
医療系の資格が必要とされる職種は一般的に普通のサラリーマンよりも収入が多いように思われています。
でも、実際はどうなのでしょうか。
まずは、医療系の資格が必要な「医師」「歯科医師」「薬剤師」の3つの職種の平均収入と必要な資格、資格取得年数などを見ていきましょう。
医師 〜 唯一の年収1,000万円超え
平均年収:1,141万円
必要資格:医師免許(国家資格)
資格取得年数:6年以上
資格取得金額:500万円〜5000万円以上
やはり医療系の上級資格である「医師」は年収が1,000万円を下回ることはありません。
昔の研修医はほほ無給と言われていましたが、最近では300万円〜400万円は得られるようになっているようです。
また、一般病院で働く勤務医と自分の病院を持つ開業医でも年収に差があるようです。
歯科医師 〜 供給・過多と言われていても強い
平均年収:582万円
必要資格:歯科医師免許(国家資格)
資格取得年数:6年以上
資格取得金額:500万円〜3000万円以上
歯医者は全国に6万施設以上あるそうです。
多すぎて競争が激しくなかなか儲かりにくくなっている歯医者ですが、それでも一般のサラリーマン以上の年収は受け取っているようです。
一方、勤務医の年収は700万円と言われており、開業医の年収と大きな差があると言われています。
薬剤師 〜 人気・年収とも高い
平均年収:518万円
必要資格:薬剤師免許(国家資格)
資格取得年数:6年以上
資格取得金額:500万円〜3000万円以上
法改正により、病院や調剤薬局だけでなく、ドラッグストアでも必要とされているので、それなりに需要があるでしょう。
ただ、以前は4年でよかった取得年数も今では医師と同様に6年間の年数が必要となっていますので、需要があるといってもそれなりの学費と年数が必要なことは認識しておきましょう。
医療系の資格が必要な理学療法士の給料はまた違う
医師や薬剤師以外にも医療系の資格が必要となる職種があります。その一つが理学療法士です。
ここでは、その理学療法士の年収などを見ていきましょう。
まずは理学療法士を知らない人のためにどのような仕事なのか説明します。
理学療法士とは?
理学療法士は、ケガや病気などで身体に障害がある人や障害の発生が予測される人に対し、身体機能の回復や維持をを目指すために運動療法や物理療法を行う専門家です。
主に病院内のリハビリテーション科やリハビリテーション病院などで働いています。
理学療法士になるには、国が指定する理学療法士の養成学校で3年以上必要な知識と技能を修得し、国家試験に合格し免許を取得することが必要です。
理学療法士の年収
では、理学療法士の平均年収などはどのようになっているのでしょうか。
平成26年 理学療法士の平均年収:390万円
平均年収:390万円
平均月収:27万円
平均時給:1,651円
年間ボーナス等:61万円
男性平均年収:398万円
女性平均年収:380万円
※上記理学療法士年収統計は厚生労働省の調査で、抽出調査となっています。また、年間賞与等は平均年収に含まれます。
このデータを見ると、平均月収は27万円、そこから推定される平均年収(ボーナス込)は390万円、年間平均ボーナスは61万円と、医療系の資格の中でも低いです。
過去の推移では、一時期若干の減少傾向があったものの、平成20年以降はほぼ横ばいで推移しているようです。
医療系の資格のなかでも、医師から比べると収入面ではかなり下がってしまいます。
医療系の資格の中でも放射線技師は需要が高いが給料は安め
ここまでに紹介してきた理学療法士に加え、作業療法士、臨床検査技師、臨床工学技師、言語聴覚士、放射線技師など医療系で資格が必要な職種があります。
これらになるためには、専門学校などで学び資格を得る必要がありますが、卒業した後の就職の需要が高い職種はどれなのでしょうか。
ちょっと紹介しましょう。
上記の職種の中では、放射線技師が需要があるようです。
最近はがん検診や検査の需要が高く、その検査を行う放射線技師が必要になっています。
しかし、理学療法士のように給料はそれほど多くはありません。その点は認識しておきましょう。
参考に最近の求人例をいくつか紹介しましょう。
- 広島県の生協病院:時給1,020円 ボーナス1〜3万円
- 長崎大学病院:時給1,000円
- 大分県立病院:日給9,910円
- 獨協大学病院:時給1,190円 ボーナス有り(年8万円)
- 兵庫県 市立川西病院:日給8,660円
- 新潟市民病院:時給1,079円 6ヶ月更新
- 公立能登総合病院:時給1,250円 契約更新の可能性あり
- 広島市内のクリニック:月給18万円 常勤勤務
地域によって変わってきますが、このように時給1,100円前後の求人が多いようです。
ただ、最近は非常勤の放射線技師が多くなり、回転や早いため仕事はたくさんあるようです。
医療系資格が必要な職種それぞれのメリット・デメリット
今までいくつかの医療系の資格が必要な職種を紹介してきましたが、どの資格もそれぞれにメリット・デメリットがあるものです。
ずっと前からその職種を目指してきた人には必要ないかもしれませんが、参考までに個人的な意見も含めそのメリット・デメリットを紹介していきます。
医師
医師になるには、大学の医学部を卒業後、国家試験に合格する必要があります。その後も病院にて研修医として働く必要があります。
メリット:収入はやはり他の医療系の職種に比べて多いです。病院内でのトップの職種で患者と直接接するためやりがいはあるでしょう。
デメリット:資格取得のための大学に最低でも6年間通い続け、国家資格取得後も研修医として研修を続けていく必要があり、医師になるまでの道のりは長いです。
また、直接患者と接する職種のため、それだけ責任は重大になります。また、勤務時間が不規則になりやすいでしょう。
看護師
看護師になるには、大学または3年制の専門学校を卒業後、国家試験に合格することが必要です。
メリット:何歳からでも挑戦することができ、看護師不足ということもあり需要もあります。収入面も割と安定しています。働き方も様々あるため、女性には融通がききやすい職種でしょう。
デメリット:勤務体制が不規則で徹夜勤務もあります。また、患者の命を預かっていますのでストレスも大きいでしょう。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士になるには、大学または専門学校を卒業後、国家試験に合格する必要があります。
メリット:働き口、働き方が様々あるため、自分に合った働き方を選択しやすいでしょう。
デメリット:他の医療系の資格が必要な職種に比べて収入が少なめです。また、残業が多いこともデメリットでしょう。
管理栄養士
管理栄養士になるには、大学を卒業後、実務経験を経て国家試験に合格することが必要です。
メリット:主に食事の栄養管理を行うため、勤務時間は基本的に安定しています。
デメリット:他の医療系の資格が必要な職種に比べて収入が少なめです。食事に関する仕事ながら病棟に行くこともあるため、血液や針などを見るのが苦手な人にはデメリットになるかもしれません。
薬剤師
薬剤師になるには、大学の薬学部を卒業後、国家試験に合格することが必要です。
メリット:収入は安定しています。病院外の薬局では基本的に夜勤はありません。
デメリット:病院内の薬局では夜勤があるところもあります。また、仕事量は多く、残業することをあり、また病院内の薬局では緊急対応で呼び出されることもあります。
また、資格を取得するために大学に6年間通う必要があり、他の資格に比べて時間がかかります。
ケアマネジャー
ケアマネジャーになるには、医師、看護師、介護福祉士などの資格取得後、臨床経験を経て、国家試験に合格することが必要です。
メリット:基本的に事務仕事が多いため体力的には楽でしょう。また、いくつかの手当がつきます。
デメリット:患者、患者の家族とのやりとりが多く、精神的に疲弊することも多いようです。また、試験や難しく合格率はかなり低いです。
医療系の仕事には資格が必要なものが多い
最後に医療系の資格全般についてまとめていきます。
医療・福祉系の資格には国家資格が多く、資格取得まで時間がかかるものが多いです。
しかし、取得できれば就職・転職にも有利になり、需要もあるため求人が多いです。
ただ、介護系の資格では介護福祉士だけが唯一、国家資格となっています。
介護系の職種は仕事の大変さから離職率が高く、長期的に続けられるだけの収入と休日が少ないのが現状です。
医療系では医師、歯科医師、看護師、薬剤師のような特別な資格は、法律系の資格とも並ぶ難関資格として知られています。
しかし、これら以外の医療系の資格は難易度はそれほど高くない資格が多く取得しやすいため、医療系としては人気の資格となっています。
また、医療系で人気が高いのが医療事務です。医療事務は医療に関わる事務や経理を行う職種で医療の専門的な知識が求められます。
医療事務の試験は種類が多く、その中でも難易度が高いとされている試験が診療報酬請求事務能力認定試験です。
この資格を保有していると評価がとても高くなるため、医療事務の仕事を目指している人はぜひ取得しておきたい資格でしょう。
医療系の資格の最難関はやはり医師の国家資格ですが、国家資格でなくとも医療関係の仕事には公的資格の取得を求められることが多いです。
患者の命を預かる病院の仕事としては資格が必要であるということが分かるでしょう。
これから日本は少子高齢化が進み、ますます医療の必要性が増してくるでしょう。そうなると医療の仕事の需要はますます増えてくると思われます。
医療系の資格をもった人はもっともっと必要とされる時代になってくるのかしれません。
また介護系の仕事の需要もますます増えてくることでしょう。現在、離職率が高い介護系の仕事にも収入面や働き方などの改善をしていく必要があります。