婚姻届を提出する際に必要となる戸籍謄本とは?
婚姻届を役所に届ける際には戸籍謄本を一緒に提出する必要があります。では、この戸籍謄本とはどのようなものなのでしょうか。
まず、戸籍(こせき)とは「戸」と呼ばれる家族ごとに国民を登録する目的で作成される公文書のことです。
この戸籍には、1人もしくは2世代を最大とする複数人の生年月日、死亡年月日、性別、氏名、続柄(血縁関係)、婚姻歴などの情報が記載されています。
戸籍謄本(こせきとうほん)とはこの戸籍に記載された内容全ての証明書のことを言います。
ちなみに、必要な人だけの内容が記載されている証明書を戸籍抄本(こせきしょうほん)と言います。
婚姻届を提出する際には、この戸籍謄本を一緒に提出することで2人の新しい戸籍が作られます。
ただ、結婚前の本籍地と同じ役所に婚姻届を提出する場合は、この戸籍謄本は必要ありません。
2人とも本籍地が異なる役所に提出する場合にそれぞれの分が1通ずつ必要となります。
婚姻届提出とともに登録される戸籍と住民票変更との関係
結婚してこれまで別居していた2人が一緒の住所に暮らすことになった場合には、住民票を提出する必要があります。
公的書類の内容を変更することを「異動」と言いますが、この場合には次のようなケースに該当し、住民票の異動が必要となります。
転居を伴うケース
- お互いこれまで別々の住所に住んでいたが、結婚して2人一緒に新住所に住む場合
- 夫(妻)の住んでいる住所に妻(夫)が一緒に住む場合
名義変更が必要なケース
結婚前から同棲しているなどで、すでに住民票は同じ住所になっているが、結婚するにあたり世帯主を一つにしたいケースです。
さて、住民票にも婚姻届と同じような記載内容の項目があります。これらの項目については、婚姻届を出した時点で変更する必要があるのでしょうか。
実はその必要はありません。戸籍と住民票の内容は一致するように定められているため、婚姻届を提出することによって「変更が必要となる住民票の内容」も自動的に変更されるからです。
これは、婚姻届を住所地ではないところの役所に提出しても、受理された役所から住所地の役所に連絡される変更されることになっています。
自動的に変更される項目は次の通りです。
- 住民票の「氏」「本籍地」「筆頭者」が新戸籍の「氏」「本籍地」「筆頭者」に
- 世帯主との続柄が、例えば[同居人]から[妻][夫]などに
なお、新しい戸籍の筆頭者が住民票の世帯主と異なる場合などは、自動的に変更されないため手続きが必要です。
また、婚姻届の内容が新しい戸籍に反映されるまでには早くて1日、たいていの場合は数日〜数週間かかります。
そのため、反映されるまでは新しい戸籍や住民票を入手することはできません。
もし、会社の扶養手続きなどで急いでこれらの証明書が必要となる場合には、正式な証明書ができるまでのつなぎとして「婚姻届受理証明書」を発行してもらえますので、これを利用することができます。
ただし、この「婚姻届受理証明書」は銀行などの金融機関での手続きや運転免許証の変更などには使えないので注意しましょう。
婚姻届を祝日に提出後すぐ引っ越す場合の住所変更手続き
もし、祝日に婚姻届を提出した後、翌日に住所変更したい場合、どのように手続きを行えばいいのでしょうか。
ここでは3つのパターンに分けて紹介します。
(1)婚姻届を現在住んでいるA市に提出し、その後B市に引っ越す場合
(2)婚姻届を引っ越す予定のB市に提出し、その後B市に引っ越す場合
(3)婚姻届を現在住んでいるA市に提出し、その後A市の別の場所に引っ越す場合
(1)婚姻届を現在住んでいるA市に提出し、その後B市に引っ越す場合
- A市の役所に婚姻届を提出する(祝日)
- A市の役所で「転出届」を申請し、B市に提出するための「転出証明書」をもらう(翌日以降の平日)
- B市の役所にA市でもらった「転出証明書」を添えて、「転入届」を提出することで住民票の異動が完了する
→この時点ですでに入籍後の氏名の「転出証明書」になっている。そうでない場合は、A市の役所から氏名の整合性を証明してもらうための「婚姻届受理証明書」をもらっておく。
(2)婚姻届を引っ越す予定のB市に提出し、その後B市に引っ越す場合
- A市の役所で「転出届」を申請し、B市に提出するための「転出証明書(旧姓)」をもらう
- B市の役所にA市でもらった「転出証明書(旧姓)」を添えて、「転入届」を提出しB市に住民登録してもらう
- B市の役所に婚姻届を提出する(祝日)
(3)婚姻届を現在住んでいるA市に提出し、その後A市の別の場所に引っ越す場合
この場合は2パターンに分かれます。
- A市の役所に婚姻届を提出する(祝日)
- A市の役所で「転出届」を申請して、A市の新しい場所に住民登録してもらう(翌日以降の平日)
このように、婚姻届を提出する役所によって、その後の住所変更手続きが変わってきます。
特に婚姻届を提出するのが休日や祝日であった場合には時間がかかることもあるため、手続きが少し大変になることもありますので注意が必要です。
国際結婚で婚姻届を提出した場合に変更される戸籍の内容
外国人と日本人が国際結婚をし、日本で婚姻届を提出した場合、戸籍はどのようになるのでしょうか。
この場合は、日本人配偶者が筆頭者となり、今までの親の戸籍から出て、夫婦の新しい戸籍が作成されます。国際結婚の場合は男女関係なく日本人が筆頭者となります。
この際、配偶者となる外国人については戸籍の本欄には記載されません。その代わり、身分事項の婚姻欄に次のようなことが記載されます。
- 婚姻届を提出した年月日
- 外国人配偶者の国籍
- 氏名
- 生年月日
また、国際結婚したとしても相手の外国人には戸籍や住民票がつくられることはありません。
さらに、日本人側は結婚したとしても、戸籍上の名前が変わることはありません。
そのため、もし相手の外国人の姓を名乗りたいのであれば「氏の変更手続き」を行う必要があります。
逆に相手の外国人が日本人の苗字に変えることはできません。
なぜなら、外国人には戸籍が作られることがないため、日本において正式な姓と名を持つことができないからです。
ただし、通称名という法律上有効な名称を名乗ることはできます。
婚姻届を提出し戸籍が変更したときに忘れてはいけない手続き
結婚して婚姻届を提出し、戸籍や住民票に変更があると、これらが記載されている運転免許証やパスポートの記載内容も変更する必要があります。
ここでは、それぞれの手続きにおいて必要な書類などを紹介します。
運転免許証の場合
運転免許証の記載内容変更においては、次の書類が必要です。
- 本籍(国籍)か記載されている住民票の写し(コピー不可)
- 代理人申請の場合は、申請者と代理人が併記された本籍
- 国籍が記載されている住民票の写し(コピー不可、続柄の記載は必要なし)、代理人の本人確認書類
※本人確認書類は、パスポート、健康保険証、住民基本台帳カード、運転免許証、学生・社員証など
これらの書類を持って、住民登録している住所の運転免許試験場や運転免許更新センター、警察署で手続きを行いましょう。
パスポートの場合
パスポートの場合は、新たにパスポートを申請する方法と、記載事項変更旅券という方式のパスポートを申請する方法の2つがあります。
それぞれについて紹介します。
新規に申請する場合
この場合には、次の書類が必要です。
- 一般旅券発給申請書(10年用または5年用)1通(書類は各都道府県のパスポート申請窓口または旅行会社にある)
- 戸籍謄(抄)本(発行後6ヶ月以内に発行されたもの)
- 本人確認書類(運転免許証や保険証など)
- 住民票の写し
- 写真(縦4.5cm×横3.5cm)
なお、受け取り時に手数料(10年用:1万6,000円、5年用:1万1,000円)が必要となります。
記載事項変更旅券を申請する場合
この場合には、次の書類が必要です。
- 一般旅券発給申請書(記載事項変更用)1通(書類は各都道府県のパスポート申請窓口または旅行会社にある)
- 戸籍謄(抄)本(発行後6ヶ月以内に発行されたもの)
- 有効なパスポート
- 住民票の写し
- 写真(縦4.5cm×横3.5cm)
なお、受け取り時に手数料6,000円が必要となります。
これらの書類を持って、住民登録している都道府県のパスポート申請窓口で申請しましょう。
記載事項変更旅券の方が手数料は安くなりますが、申請から受領までは新規の場合と同様に1週間程度かかることは同じですので注意しましょう。