私用で使ったお金を会社の経費としている実例
実際に、私用で使ったお金を会社の経費としている場合、どのようなことに使っているのでしょうか。
ここでは、その例を紹介していきます。
会社のインテリアとして高額な美術品を購入する
社長が会社の名義で数千万円単位の美術品を購入。会社のインテリアとして必要だということで、経費として落としている例です。
会社のインテリアとしていますが、自分の趣味で購入している部分もあり私用に近いです。
会社の経費で購入した車を私用にも使っている
これは私用で購入したわけではありませんが、会社名義の車を私用でも使っているパターンです。
車の保険やガソリン代も経費として落としている例です。
取引会社の人と一緒に仕事とは関係ない友達も同伴してゴルフをする
接待ゴルフとの境界が難しいところですが、仕事とは関係ない友達も同伴していることから、私用と見られてもしょうがない例です。
会社の経費を私用として使うのは、ほとんどの場合、個人事業主や小規模の会社の社長が多いようです。
私用で使ったお金を会社の経費にした場合に問われる罪とは?
私用で使ったお金を会社の経費にした場合、どのような罪に問われるのでしょうか。
ここでは、どのような罪に問われるのかをみていきます。
例えば、会社のブロジェクトの打ち上げでメンバーみんなでお酒を飲みに行き、そのあと「接待」として会社に飲食代金を請求しお金をもらっている場合。これは明らかに犯罪になります。
刑法には次のように記載されています。
第246条(詐欺)
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
つまり、接待ではないにもかかわらず、あたかも経費であるかのようにして会社にお金を請求してもらっているので、「お金をだまし取った」ことになり詐欺罪にあたります。
また、お金ではないですが、会社にあるボールペンやハサミ、ホッチキスなどの備品を家に持って帰ることも犯罪になります。
刑法には次のように記載されています。
第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
備品は会社所有の動産であるため、それを持ち帰ることは窃盗罪にあたります。
このように会社のものを私用として使うことは犯罪になります。明らかに意図的な行為はいけませんが、つい知らずにやってしまうこともあるので注意が必要です。
私用のポイントを使って会社のものを購入した時の経費の扱いは?
最近、買い物をするとよく付いてくるのがポイントです。ポイントは、その後の購入で値引きに使うこともできます。
しかし、このポイントを使って会社のものを購入した場合、経費はどのようになるのでしょうか。
ここでは、そうした場合のポイントの扱い方について紹介します。
まず、ポイントを使って購入する場合には、そのポイントの出所が重要になってきます。
もし、プライベートの買い物で付与されたポイントを使う場合は、ポイント分は経費にすることができます。
つまり、30,000万円分の買い物をして10,000ポイント(10,000円相当)使った場合、この10,000円円は経費とすることができるわけです。
一方、会社の買い物で付与されたポイントを使う場合は、使ったポイント分のお金は値引きとして計上することになります。上の例だと、10,000円分を値引きとして計上するわけです。
このように、ポイントを使って購入する場合は、そのポイントの出所に注意する必要があります。
会社のデータを私用に持ち出した場合、犯罪になるのか?
経費の話ではないですが、会社のデータを私用に持ち出すことは犯罪になるのでしょうか。
会社には顧客情報など「財産」ともいえるデータが数多くあります。
たとえば、このデータを退職した従業員が退職前にあらかじめ持ち出し、転職先の会社で利用したら罪になるのでしょうか。
この場合、会社のものを持ち出したのだから「窃盗罪」にあたりそうな気がします。
しかし、実は窃盗罪とならない可能性もあるのです。それは、窃盗罪の対象が「有体物」に限られているからです。
たとえば、顧客データを印刷した名簿を持ち出したり、会社のUSBにデータをコピーして持ち出した場合は、会社のものを持ち出したということで窃盗罪になります。
しかし、データを私物のUSBにコピーして持ち出したり、私物のスマホに写真をとって持ち出した場合には、会社のものを持ち出しているわけではないので窃盗罪にあたらないのです。
データを盗んでいるのだから窃盗罪になりそうなところですが、現状の刑法ではこのように定めされているのです。
経費のごまかしや業務上横領を罪として問うためには?
もし、会社のある社員が経費をごまかしていたり、お金を横領していたりということがわかった場合、どのようにして罪に問うことができるのでしょうか。
まず、懲戒処分にするためには、その根拠となる事由について、就業規則や賞罰規定の懲戒事由に記載されている必要があります。
就業規則や賞罰規定に明文化されていない事由では処罰することはできないわけです。
ただ、業務上横領などの違法行為については就業規則や賞罰規定に明文化されている会社が多いでしょう。
もし、その事由にあたる場合には、会社としては慎重に調査を進める必要があります。
業務上横領に該当すると判断に至ったことを証明するために調査資料などを厳密に収集しておくことが重要です。それは従業員本人からのヒアリングだけではなく、客観的な証拠も必要です。
懲戒処分を下すまでには、従業員本人に弁明の機会を与えたり、社内の懲罰委員会で手続きをとったりしなければいけません。