結婚のメリット、それはズバリ税金が安くなる!
結婚は、それまで他人同士付き合っていたふたりが制度に則って届け出をし、家族として人生をともに歩んで行くことです。
多くのケースでは、お互いが社会人となり、自立して生きていけるようになったうえで結婚をするというかたちが多いでしょう。
結婚のメリットはいろいろ思い浮かびますね。家族として互いを大切にし合い、楽しい時も辛い時も支え合い、思い出を積み重ねていく……素敵ですよね。
そして結婚にはこれ以外にもメリットがあるのです。それはズバリ税金です。
私たちはさまざまな社会サービスや暮らしに必要な制度をみんなで支え合うために税金を支払いますが、結婚をするとその額が控除されることが多くなります。
これは、婚姻制度を選ばない事実婚も事実上の結婚ということでほぼ同じように適用されます。
具体的にはどのように税金が減るのでしょうか。
専業主婦(夫)がいる場合、扶養控除の対象になると、夫(妻)の源泉徴収額を少なくすることできるのです。
また、マイホームを買おう!と考えても一括で買える人は少数派でしょう。多くの方は住宅ローンを組むと思います。そのとき、住宅ローン減税を受けることもできます。
それ以外にも配偶者に関する税金の控除がいくつかあります。これらを知って利用することで、独身時代よりも負担する税金額を少なくすることができるのです。
結婚による税金のメリットにはどんなものがある?
結婚をするとパートナーの呼び名は配偶者となります。配偶者の所得に応じて、所得税にかかる税金が低くなる「配偶者控除」「配偶者特別控除」を受けることができるようになります。
配偶者控除とは、一方の配偶者の所得が年間38万円以下(給与所得者である場合は年間所得が103万円以下)であれば、「所得税38万円(配偶者が70歳を超える場合は48万円)、住民税33万円(配偶者が70歳を超える場合は38万円)」の所得控除を受けることができます。
配偶者特別控除は、配偶者控除の所得を超えた場合に適用される所得控除です。
「38万円超〜76万円未満(給与所得者の場合は103万円超〜141万円未満)」の場合には3万円〜38万円の範囲で所得控除を受けることができます。
注意!配偶者特別控除が受けられないケースがある
配偶者特別控除は、配偶者控除を緩和するため設けられているものですが、以下の条件に当てはまるケースには適用されませんのでよく注意してください。
- その世帯の納税者の年間所得が1000万円を超えるケース
- 配偶者が他の扶養家族となっているケース
- 配偶者が事業専従者として「青色事業専従者給与」の支払いを受けているケース
- 配偶者が「事業専従者控除」に該当しているケース
です。
結婚で税金のメリットを受けるには、一方の給料を一定額以下に
配偶者控除(所得税・住民税)は、年収103万以内
さまざまな条件によって税金を低くおさえられる「控除」のうち、「配偶者控除」は、配偶者の給料が年間103万以下の場合に受けられるもののことをいいます。
具体的には、配偶者のパート、アルバイト収入が、103万/年(月額85,833円)以内であれば、その世帯の主たる給与所得者は配偶者控除を受けることができるので、所得税は増えません。
厳密にいえば配偶者の年収が100万を超えると住民税の義務が生じているのですが、年間収入が100〜103万円/年の中におさまっていれば実際の負担増は数千円だけですみますので、さほど気にする必要はないといえます。
ちなみに103万円の内訳は、給与所得控除が65万、基礎控除が38万となります。
ここでよく確認すべき点は、給与所得控除とは、そのネーミングのとおり、給与所得に限られる、ということです。
パートやアルバイトなら問題ないのですが、自営業などで収入を得ている人には当てはまりません。
自営業などの方は、収入が38万円以下でないと配偶者控除は受けられなくなってしまいます。
社会保険(年金、健康保険)は、130万以内
2点目の扶養は、社会保険(年金、健康保険)に対してのものです。
たとえば配偶者の収入が年間130万以内の見込みだとすると、健康保険では被扶養者(扶養を受けている者)として扱われます。
しかしもしそれ以上の収入が見込まれると、扶養の対象ではなくなってしまい、本人が保険料を支払う義務が生じるということです。
国民年金についても同じように、配偶者の収入が年間130万を超えると、年金保険料は配偶者本人が負担しなければなりません。
ここにも結婚のメリット!贈与税
贈与税に関しても結婚に関係のある変化が
近年の税制改定の中で、とくに大きな変更のあったものに、贈与税が挙げられます。
贈与税とはどういう税金なのでしょうか。読んで字の如く、贈与をすると発生する税金のことです。
ある人から別な人へ財産が移ったとします。そのときその財産を“受け取ったほうの人”が支払わなけらばならない税金ことです。
法改正(2015年)にともない、結婚、出産にも贈与税が関係するようになりました。
2015年4月〜2019年3月の間に、20歳〜50歳未満の方が、結婚・妊娠・出産・育児の4つのうちいずれかのために両親や祖父母から金銭を受け取った場合に限って、上限1000万円(結婚は300万円)まで、贈与税がかからないようになりました。
この制度改正は、結婚や子育てにお金がかかることを理由になかなか結婚できない、子どもをつくるのをためらう、といった問題を少しでも減らすという、晩婚化、結婚離れの解消を狙ってのものです。
結婚や出産にはある程度まとまったお金が必要になります。しかし、若い人にはなかなかそのお金が十分にない、そんなときに両親、祖父母といった親族(直系尊属)からの金銭サポートを受けやすくすることで、本人たちの負担を少しでもやわらげよう、という趣旨です。
結婚を考えている人や子育て世代にとっては、条件が整えばぜひ利用したい制度ですが、この場合、一定の手続きが必要になります。
まず、贈与する側が金融機関に出向き、子や孫の結婚、子育て資金を贈与するための口座を作る必要があります。
また、贈与を受け取った側の子や孫は、その財産をたしかに結婚や出産に使いましたよ、とわかる領収書等を提出しなければなりません。
そして最後に、目的が達成された(例:結婚式が無事に終わった)ときに、あらためて税務署に行って手続きをします。
結婚による税金のメリット!控除適用には結婚の日付も大切
その年に配偶者控除が受けられるかどうかは、その年の年末12月31日の「現況」によって決定されます。
つまり、何月に結婚しても、結婚したその年から控除が受けられるのです。
例をあげると、2017年12月31日に婚姻届を出した場合と、1日違いの2018年1月1日に婚姻届を出した場合とでは、たった1日の違いでもその年の分の税金の額が大きく変わる可能性があるのです。
12月31日の場合は、2017年の所得に配偶者控除が適用されますが、翌年1月1日の場合は2018年分からの適用となってしまうのです。
いつ婚姻届を出しに行こうか、と考えているお二人は、それがもし「年末か年明けか」だったら、迷わず年末にしたほうが、税金を考える上では間違いなくお得ということになります。
個人事業者の結婚時期と税金
フリーのデザイナーやノマドワーカーなど、個人で独立して事業を行う個人事業者の場合は、配偶者控除の代わりに、配偶者に給料を支払う形にすることで節税することが可能です。
この場合に注意すべき点は、この優遇措置は、配偶者が業務に従事する期間が、その年のうちで6ヶ月以上ないといけない、という規定です。
6ヶ月以上働く必要がある、ということは、個人事業者の方が結婚をする場合、5月末までに結婚した方がよい、ということかも知れませんね。