未婚で出産…法的に養育費をもらうには認知が必要
まず「認知」とは、どういうことでしょうか?
これは、子供の父親にあたる男性が、その子供をその女性との間にできた自分の子供だと認めることです。
認知すれば、その子供との間に法的に親子関係が成立します。これにより、父と子供の間に扶養義務が生じますし、母親が養育費を請求することができるようになります。
また、父親にあたる人の遺産の相続権が子供に認められます(平成25年から婚外子でも父親にあたる人の遺産の相続権は、婚内子と同じになりました)
しかし、認知されても父親にあたる人と母親との間には婚姻関係はありませんので、子供は母親の戸籍に入り婚外子(非摘出子)ということに変更はありません。
それと母親の戸籍には入りますが、戸籍の父親の欄には父親にあたる人の名前が記載されます。
未婚での出産でも養育費が請求できる任意認知とは?
認知とは民法上の制度で2種類ありますが、ここでは任意認知について説明します。
任意認知とは、父親にあたる人が自発的にする認知のことで、一般的に認知とはこのことを指します。
戸籍上の手続きになりますが、届け出る窓口は、原則として認知する父親の本籍地。認知される子供の本籍地。届出人(原則として父親)の所在地のいずれかになります。
届出に必要な書類としては、認知届、届出人(父親)の印鑑。なお届出地(原則としては、父親または子供の本籍地)が本籍地以外の場合には、戸籍謄本などの書類が必要となります。
それと出産前の胎児の時点でも認知を行なうことは可能です(胎児認知)。その際、認知届には母親の承諾書が必要で、母親の本籍地の窓口に提出することになります。
未婚での出産で相手が認めない場合は「強制認知」で養育費を!
未婚の女性が出産し、相手の男性が任意認知に応じてくれない場合、協議という方法があります。
これでも認知に対して同意を得られない場合、家庭裁判所に「調停」を申し立てるということができます。
ここでは主に、DNA鑑定によって子供の父親かどうかの判定ができることになります。
しかし、父親にあたる人が調停での認知に同意しない場合には、家庭裁判所に訴訟提起ということになります。
ここでもDNA鑑定による判断が重視されます。その裁判の結果による認知を強制認知といい、裁判認知とも言われます。
強制認知による認知では、父親にあたる人の戸籍に「強制認知」ということが記載されます。また一般的に強制認知から逃れる方法はありません。
未婚の出産で認知が得られない場合の問題とは?
相手の男性に子供の認知をしてもらえない場合の問題として、一般的に次の3つが考えられます。
- 養育費の請求ができない。
- 相続権が得られない。
- 戸籍の父親の欄が空欄。
これらは、状況により大きな問題となる可能性がありますので、未婚で子供ができた場合には、できるだけ認知してもらいましょう。
特に子供にとって戸籍に父親の名前が記載されているというのは、子供の気持ちを考えた場合、メリットになる場合が多いかと思われます。
逆に認知してもらった場合のデメリットというのは、母親側にはほとんどないと思われます。
あるとすれば、父親に対する扶養義務が生じますが、特殊な場合を除いて大きな問題となることはないと思います。
未婚で出産は日本でまだまだ少数派!海外の状況は?
厚生労働省の「平成25年度厚生労働白書」の1980年と2008年の婚外子の割合をさまざまな国で見てみますと、多い国としてはスウェーデンで1980年に39.7%、 2008年に54.7%となっています。
同様にフランスでは、11.4%、52.6%、アメリカは、18.4%、40.6%となっています。低い国としては、イタリアが、4.3%、17.7%です。それに比べ日本では、1980年が0.8%、2008年は2.1%と極端に低くなっています。
また、結婚に対する意識としては「結婚したほうがよい」や「結婚は必ずするべきた」というような結婚肯定派の割合は、日本は64.5%であるのに対し、アメリカでは53.4%、フランスおよびスウェーデンでは40%を下回っています。
フランスでは、法的に婚姻関係がなくても、事実婚の状態であれば、パックスという連帯民事契約を結ぶことができます。
この契約を結ぶことによって、社会的な保障や税制で、法的な夫婦と同じ権利を得ることができます。
このように、ヨーロッパの一部の国やアメリカでは、婚姻率の低下が指摘されていますが、婚外子が増加してきていますので、事実婚を選択する人が増えてきていると考えられます。