介護の仕事の離職率の現状
介護職の離職率を考える前に、まず全産業の離職率について見てみましょう。
平成18年の全産業の離職率は16.2%で、平成23年は14.4%となっています。
一方、介護職の離職率は、平成18年は20.3%であったのが平成23年には16.1%と下がってはいますが、他の職種と比較すればやはり高い数字であるといえます。
しかも、同じ介護職として働く人でも、正社員と比べるとパートなど非正規雇用の人の方が離職率はかなり高くなります。
介護職においては、就職しても3年以内に3人に1人が辞めてしまう、という報告もあります。
さらに問題なのが、介護福祉士の資格を持っているにもかかわらず介護職に就いていない人が、4割以上にも上るという点です。
せっかくこのような資格を取得していながら、多くの人が介護の仕事をしていないというのが現状です。
介護の仕事を辞めた理由
介護の仕事は大変だという声をよく聞きますし、実際、辞めていく人も多くいます。
せっかく就いた介護の仕事を辞める理由とはどのようなものなのでしょうか。
平成25年度の介護労働実態調査によると、「人間関係に問題があった」「施設などの運営方法に不満があった」「他にやりたい仕事があった」「収入が少ない」などが上位を占めています。
これらを見ると、介護職に限らず全職種に見られるような理由ばかりですね。
介護職ではよく「体力的にきつい」などというような声をよく耳にしますが、こうした理由はあまり上がっていません。
ちなみに、介護の仕事を選んだ理由としては、「働きがいがあるから」「これから需要が高まる職種だから」「人や社会に貢献できるから」などがあります。
こうした理由で介護職に就きながら、長続きしないのが現状のようです。
介護の仕事は大変なのに給料は低い
介護職の給料については、不満の声が多いようです。
高い専門性が要求されて、しかも体力的にも負担が多い職種であるにもかかわらず、その報酬が他の職種に比べて少ない、というのが理由です。
2014年の厚生労働省の資料によると、福祉施設の常勤の介護員、および訪問介護員の月給はおよそ22万円で、全職種平均の約33万円と比較すると大幅に低い額となっています。
これでは、確かに介護職員が不満に感じるのも当然ですよね。
それでは、なぜ介護職の給料が低いのでしょうか。
介護職の場合、事業所では人件費に多くのコストがかかります。
その源となる介護報酬は国によって定められているため、各事業所によっていかに効率よくサービスを提供するかで給料に差が出ることになります。
一般に規模の大きい事業所の方が、給料が高くなる傾向があるようです。
大変な介護の仕事の実例
1.介護中に利用者に殴られた
介護をしている時に、突然利用者が怒って腕や顔を殴られました。
私の介護のやり方に不満があったのかもしれませんが、なぜ利用者を怒らせてしまったのかは、わかりません。
利用者の方も何らかの病気を患っている場合が多く、そのために仕方のないのも分かります。
しかし、暴力を振るわれると、こちらもついつい感情的になってしまいます。
また、特に認知症の方に対する接し方には苦心します。
現在の仕事は好きですが、給与も低く、心に余裕を持って利用者に対応することが難しいです。
2.利用者にすぐに怒鳴られる
病気のせいで怒鳴られるのならまだ許せるのですが、性格が悪くて怒鳴る利用者がいて、困っています。
そのような利用者にすれば、お金を払っているのだからきちんと対応しろ、とでも考えているようです。
お金さえ払えば何でもしてくれて当然、とでも思っているのでしょうか。
このような性格の悪い利用者には、本当に悩まされます。
介護の仕事は大変な仕事だけどやりがいもある!
これまで述べてきた通り、介護の仕事は厳しい部分が多いようです。
しかし、一方でもちろんやりがいのある仕事であることも確かです。
ここでは、新人、中堅、ベテランそれぞれの介護職のやりがいについて、まとめてみました。
1.新人のやりがい
これから介護の仕事を実践を通して学んでいく立場で、思うようにいかず戸惑うことも多いと思います。
しかし、利用者からの温かい笑顔や感謝の言葉に、やりがいを感じることでしょう。
資格取得のための勉強や現場での作業から、介護の知識や経験をひとつひとつ積んでいく過程で喜びを見出していきましょう。
2.中堅のやりがい
介護に必要な一定の知識や技術を習得した立場であり、これからは他の数名のメンバーを指導するリーダーとしての活躍が求められます。
職場の雰囲気を良くして、職員が利用者に対して気持ちよくサービスを提供できることで、リーダーとしてのやりがいを大いに感じることでしょう。
3.ベテランのやりがい
介護職の資格や経験を数多く取得し、組織のトップとしての位置づけという立場になります。
また、活躍の場も単に介護職だけではなく、医療をはじめ他分野との連携も必要とされます。
責任が大きくなりますが、その分やりがいも大きくなります。